ロケ前日のアシスタントディレクター(AD)のリアルな1日のスケジュールって気になりませんか?

“どうしてADさんが忙しいのか?なんで帰れないのか?”のかがわかります。

収録前日とは全く異なるスケジュール感になっており、ロケ前日の特有リアルな1日をご紹介していきます。

普段よく聞くけど中身を知らない激務なADさんのロケ前日をどうぞ!

制打準備

◾️午前10時〜11時

まずはじめは「制作打ち合わせ」通称”制打ち”の準備になります。

台本・香盤表・スケジュールなどを印刷していきます。

基本的な資料は毎回同じになりますが、ロケによって必要になる資料はAD自ら考えて作成・印刷しておかないといけません。

印刷が終われば会議室に並べて、ディレクターやプロデューサーが来るのを待ちます。リモートの場合は資料印刷はなく、ZOOMなどのURLを発行し待機します。

制作打ち合わせ

◾️11時〜13時

次に行うのが「制作打ち合わせ」になります。

ロケの内容を確認しながら、当日段取りの最終確認をしていきます。

どんなロケでも必ず行います。基本ロケに参加する全員が出席する重要な打ち合わせになります。

この場でディレクターやプロデューサーに段取りを確認してもらい、当日の動きを決めていきます。

この現場ではこう動いてほしい

この時間は演者受けするので私現場から離れます

先行してロケ場所のスタンバイするチームはだれかな?

など細かくロケ全体の動きを、みんなで把握する打ち合わせになります。

チーフADは「誰が、どこで、何をしている」をすべて頭の中に入れておかないといけません。

そして制打ちが終われば、ディレクターと個別で打ち合わせしながら、より細かい最終確認をしていきます。

制打ちで決まった内容を受けて、ここから本格的にロケ準備を入っていきます。

制作打ち合わせ 一言メモ
スムーズな制打ちができれば1人前にAD
制打ちで急な注文をするP・APには要注意

資料作成と小道具・美術品の確認&調達

◾️13時〜19時

制打ちで決まった内容をもとに「各種資料作成と小道具・美術品の準備」を進めます。

美術品は局内の美術倉庫にピックアップにしにいきます。美術倉庫は迷路のようですが、テレビで見たことある美術品がズラリと並んでいるので興奮します。

そしてロケ内容や季節、天候に合わせて必要なものを調達していきます。

    主なロケ道具リスト
夏季クーラーBOX・スポドリ・日焼け止め・虫除けスプレー・汗拭きシート
冬季ホッカイロ・ヒートテック・手袋・ダウンジャケット
雨天カッパ・透明ビニール傘・機材用レインカバー・タオル

ロケ内容や天候によって、何が必要になるのか毎回変わってくるので、ロケ経験を重ねて学んでいきます。

道具準備と並行して、制打ちの内容を反映したスケジュール・香盤表・地図など資料作っていきます。

制打ちで変更がなければいいのですが、ディレクターやプロデューサーの細かい指摘があれば修正していきます。

車両用の地図を作ったり、添付写真を変えたりなど「それいる?」「なんの資料?」と思うこともありますが、グッと我慢しましょう。

レンタル機材確認

◾️19時〜20時

ある程度小道具や資料作成が落ち着いたら「レンタル機材の確認」していきます。

ロケで使うカメラやメディア、そしてバッテリーの台数をチェックしていきます。

この時バッテリーがフル充電されているか確認しましょう!

残量がなかったり、バッテリー予備を忘れたりすると、ロケでめちゃくちゃ怒られます。地獄現場になります。

メディアの必要な枚数と、カメラに対応しているメディアの種類、そしてバッテリーはしっかりと確認していきましょう!

◾️20時〜23時

資料作成、美術確認、機材確認などが終わったら、ADだけの打ち合わせ“AD打ち“を行います。

演出内容の確認ではなく、当日の動きをチーフADやロケ担当者を中心に確認していきます。

ここで自分弁当ピックいきます!

ロケバスはここに待機してほしい

先行隊で店に指示しといて!

など段取りや細かい内容詰めていきます。

AD同士の連携が取れていないと事故に繋がり、ロケがめちゃくちゃになるので注意しましょう!

そしてAD打ちが終われば、あとは確定台本を待つだけです。

作家さんからディレクターに送られ、ディレクターが最終確認をしている時間帯です。

完成したらディレクターから制作全体にメールが届くので、ADはそれを心待ちにしています。

確定台本が来れば、あとは台本を刷って、カンペを作ってやっと前日準備が終わります。

届くまでは休憩タイムです!

カンペ作成&台本・資料印刷

◾️23時〜27時

ディレクターから確定台本があがったら、まずは台本の誤字脱字などを確認します。

確認した後、スケジュールなど必要な資料を入れ込んだ台本を印刷します。

それと並行してカンペを作っていきます。

ワードに台本をコピペしながら、文字や行間を調整しカンペデータを作ります。

ブロックごとにカンペ作りを分けたり、演者ごとに分けたりしながら、分担して作業すると効率的です。

ワードのカンペデータができれば、それを印刷し、整えて、ホチキスやクリップで止めてカンペ完成になります。

多い場合はカンペが100枚以上になることもあります。

台本印刷やカンペ作成は、短くても1~2時間はかかります。

これで前日準備は完了です!機材や資料、小道具を搬出しやすい場所に並べてロケ前日の作業終了になります。

仮眠・休憩

◾️27時〜30時

ロケバスの到着時間まで仮眠や休憩をとります。

ご飯を食べに行ったり、一旦家にシャワーを浴びに帰ったり、各々好きなことをしながら、休みます。

家に帰って寝るのは、絶対に起きれないのでやめましょう!

基本的な資料は毎回同じになりますが、ロケによって必要になる資料はAD自ら考えて作成・印刷しておかないといけません。

ロケ出発

◾️翌6時〜

翌朝ロケバスに機材や資料や小道具を詰め込んで、ロケスタートになります。

ここまでが準備段階で、ここからロケ本番になります。

ロケ前日のADさんのリアルなスケジュール、いかがでしたか?

過酷で、大変と思われるADのリアルスケジュールになりますが、業界全体で働き方改革も進み、以前よりも大幅に働きやすくなっています。

真剣に面白い番組や作品を作る制作環境は、他ではできない経験が間違いなくでき、さまざまな場面や職種でも活かせる経験が身につきます。

これからも番組制作のリアルを届け、興味を持っている方に有益な情報をどんどん発信していきます。

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