9月に入り、本格的に年末特番が動き出す時期になりました。

総合演出やテレビ局プロデューサーは、早い場合6月くらいから少しづつ始動を始めています。

今回は、年末特番がどれだけ大変か、そしてどれだけスゴいのかを、レギュラー放送と比べて、紹介していきたいと思います。

番組制作に携わる中で、年末特番をやるか、やらないかで、雲泥の差が生まれます。

経験すれば、確実に一皮剥けて、飛躍的に成長できます!

それでは、リアルな年末特番の裏側をご覧ください。

スタジオ収録が複数回行われる

通常のレギュラー番組だと、放送につき基本1回の収録になります。

しかし年末特番は、少なくても2回もしくは3回と複数回行われることが当たり前です。

アメトーークやさんま御殿なども、年末特番の場合は、テーマごとに日を分けて収録しています。

これは収録が長時間になってしまうことや、大物MCのカロリーをケアするため分けています。

クイズ番組などの場合は、1日通して収録しますが、通常よりもしっかり休憩をスケジュールになります。

何回も、何回も収録を行うのが、年末特番です!

制作準備期間が長い

レギュラー番組の場合、制作期間は1ヶ月程度、特番だと2〜3ヶ月になりますが、年末特番の場合は3〜6ヶ月くらいとめちゃくちゃ長いです。

早い番組は夏前から放送作家が集められ、企画会議やネタ決めを行います。

企画が決まった後に、制作チームが集められるのも、8月・9月とまだ暑い時期に年末の番組を考えます。

型ロケ企画になればなるほど、準備期間が必要ですので、ロケまでに2ヶ月以上かかることも当たり前です。

人員が通常の3~4番組分

年末特番の場合、人員のスケールも違います。通常の番組が3〜4個作れる規模のチームが集められます。

しかも相当手だれであり、優秀かつ売れっ子のディレクターや放送作家が集結します。

一つのコーナーや企画だけで、通常の1番組を作れるスタッフが動員されます。

制作会社単位で任されるので、同じチームですが進捗や企画の良し悪しは、かなり気になります。

人数も規模も大きいので、全体会議は100名以上集まり、ディレクターでも発言することがほとんどなく、演出陣とチーフ作家クラスが会話する環境です。

もちろんADは基本地蔵であり、ネタの行く末をビクビクしながら、会議を聞いています。

これ以上に大人数が集まる番組は、24時間テレビや27時間くらいしか、今のテレビ業界にはないと思います。

編集作業が数週間以上続くのも当たり前

ここ最近は編集ソフトも進化し、編集時間が大幅に短縮してきました。

通常番組なら本編編集で3〜7日程度で、EED・MA・納品まで行うスケジュールになります。もちろんカロリーが高い番組だと、1週間以上編集にかかる場合もまだまだ多いです。

それでも年末特番の編集は、異常なほど長いです!!!

1週間以上24時間休みなく編集作業をすることも、当たり前です。ADも交代制で対応しますが、チーフADはほぼずっと箱にいます。俗に言う「箱で生活」する状態です。

MA・ミックスまで含めると、2週間以上かかる場合もあります。それくらい編集作業のカロリーは桁違いです。

編集所で屍になるAP・Pも続出

通常編集所で屍のように倒れておるのは、ADやディレクターなどの制作部隊ですが、年末特番の場合は、APやプロデューサーも倒れています。

チーム全員で連日戦い続けるので、若いスタッフ以外の人も、編集所の椅子で寝ていることも珍しくありません。通常のレギュラー放送だと、ほぼ起こりません。

プロデューサーが編集所で寝る異常さが、少しでも伝われば嬉しいです。

サブ出し組と本編組で天と地の差

サブ出し組と本編組で、まるっきりカロリーも変わります。

天国と地獄と言っていいほど、違う世界です!

サブ出しの場合は、基本ロケや収録まで担当するので、OAに向けての編集作業には参加しません。

誤解する人が多いですが、番組制作で一番過酷なのが、収録でも、ロケでもなく、OAに向けての本編作業です。

11月に収録が終わり、そこから約1ヶ月以上編集作業がずっと続きます。長い場合は2ヶ月近く、編集作業を担当する場合もあります。

収録前からどちらの組は決まっているので、本編組の覚悟の持ち方は違います。収録終わりが、本当のスタートラインになるのが、年末大型特番です。

収録弁当がめちゃくちゃ豪華

年末特番の収録弁当は、1年の中で一番豪華になると言っても、過言ではありません。

通常一個1000円程度の予算感になりますが、年末特番の場合、1個1500〜2000円クラスの豪華ロケ弁が用意されます!

大物MCの番組の場合、高級ロケ弁や高級寿司の弁当が、振る舞われることもあります。

1個5000円以上する弁当を用意してくれるスター芸能人もいるので、本当に嬉しい限りです。

年末大特番の凄さ、過酷さ、異常さ、伝わりましたか?

年々ホワイト環境が進むテレビ業界ですが、年末特番はまだまだ過酷なブラック環境であります。

しかしそれは面白い番組や作品を作る上で、仕方ないことなので、おそらく変わることもないと思います。

むしろそういう環境を全て排除するのは、テレビ業界全体にマイナスだとも思っています。

なので、より良い形で文化や伝統を残していきつつ、働きやすい環境を整えていければ、もっとテレビ業界が盛り上がるはずです!

皆さんもぜひ年末特番を見る時は、頑張って制作したスタッフを、思い出してください。そして、SNSなどで「面白かった!」と呟いて労ってください。

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