
テレビ制作に携わる人なら当たり前の常識も、意外と知られていない事が多いです。
友達や知り合いに質問される時も「えっ!?そんな風に思ってたの?」と驚くことも少なくありません。
なので今回は、誤解されがちなテレビ業界の常識をまとめていきます。
テレビ業界に興味を持っている人も多いですし、業界を目指す学生さんにとっても、タメになったり、暇つぶしになれば嬉しいです。
それでは、勘違いしがちなテレビ業界をご覧ください。
目次
放送作家に企画の決定権はない

放送作家と聞くと「企画を決める人」というイメージが強いですが、実際に企画の決定権は持っていません。
番組企画の最終決定権は、総合演出というチーフディレクターが持っています。
放送作家は、企画やネタを提案したり、意見やアドバイスをする立場であり、企画を決める側ではありません。
毎日のように企画・ネタを考えるのが仕事であり、選ばれ続ける企画を提案し続けなければいけません。
その中で超売れっ子一流作家さんは、企画の決定権や演出側に立つこともありますが、ほんのごくごく一部です。
放送作家はただ企画を決める人ではなく、企画提出やネタ会議を繰り返す事がお仕事の基本になります。
収録・ロケよりも編集作業が大変

一般的にロケや収録が過酷だと思われがちですが、本当は編集作業の方が圧倒的に過酷です!
ロケ・収録終わりが、やっと番組制作のスタートラインに立ったといっても過言ではありません。
ロケも準備や本番は大変ですが、その比になりません。
編集作業の場合、1週間以上編集所から帰れずに寝泊まりすることも珍しくありません。※今の時代は、滅多になくなりました。
OAに向けて、タイトなスケジュールで動く連続なので、VTRチェック、素材借用、編集、MA、MIXと、24時間ずっと動き続けなければいけないのが、当たり前です。
ゴールデン番組と深夜番組などでは、カロリーがだいぶ異なりますが、それでも編集作業の方が辛く、過酷な現実が隠れていました。
画(映像)よりも音の編集にこだわる

テレビ制作といえば、動画編集も思い浮かべる人も多く、そのほとんどが映像に目が行きがちですが、画よりも音の編集にこだわります。
映像を切り貼り・カットして編集するのと同じくらい、音声も切り貼りして編集しています。
フレーム単位で編集し、わかりやすく、テンポ感を出し、面白い要素を生み出すには、音の編集がめちゃくちゃ大切になります。
なので、優秀なディレクターさんであればあるほど、音へのこだわりが強く、編集も細かくなります。
映像だけを編集していると思われがちですが、テレビマンはテレビを観る時は、音の編集に目が行きがちです。いや耳が行きがちです。
余談ですが、コロナ禍でマスクをしている人が多かった時期は、音の編集がめちゃくちゃやりやすかったです。リップシンク(口の様子)が隠れているので、変幻自在に編集できました!
編集所は”加工編集”をする場所

一番多く勘違いされているのが、編集所になります。
編集所の言葉のイメージが先行しているので、収録した素材は編集所で全て編集されていると思われがちです。
基本皆さんがイメージする編集を行うのは、ディレクターになります!編集所では行いません!
1時間の収録素材を10分の面白いVTRにディレクターが編集します。その後に、テロップやエフェクトなどの加工を行うのが、編集所になります。
なので、編集所では専門のスタッフがテロップをつける場所と思っていただければと思います。そのテロップも全てディレクターが考え、指示を出したモノがつけられます。
意外と知られていないので、業界志望の学生さんは、ぜひ覚えておきましょう。
街頭インタビューは簡単じゃない

街頭インタビューって、ただインタビューしているだけで簡単そうと思われますが、めちゃくちゃ難しいです。
インタビューしながら、頭の中で編集して、面白い話を引き出したり、深掘りしたり、リアクションを求めたり、素人が簡単にできるものではありません。
業界歴を重ねても、上手くなるわけではなく、本当にセンスがいる分野です。
テレビを見ている時は、誰でも撮れそうで、面白い人を見つければいいだけと思われがちですが、全く違います!
街頭インタビューを上手くなりたい人は、月曜から夜更かしを徹底的に研究してください。1カット1カット、テンポの出し方、コメントを引き出すコツ、質問の仕方、画角、全てがプロの技になります。
業界人も夜更かしスタッフの街頭インタビューは、脱帽しています。
ADよりもディレクターがキツイ

テレビ業界といえば、ADが過酷、辛い、きついなどのブラックのイメージで、ディレクターになれば楽になると思われがちですが、全く違います!
今の時代、ADよりもディレクターの方が、圧倒的に大変であり、辛くなりました。
ディレクターになったのに、AD時代の仕事やらなければいけないのが、今の若いディレクターになります。
せっかくディレクターになったのに、AD仕事をやらなければいけない20代〜40代のディレクターの不満は年々膨らんでいます。
ADには辞められなくないので休日やケアを与えますが、ディレクターは裁量労働制なので、過酷な環境も相変わらずな状況になります。
若手ディレクターの働きやすさや処遇を改善しないと、テレビ業界全体の人材流失は止まらないのかなと危惧しております。
勘違いしがちなテレビ業界の常識、いかがでしたか?
言葉は聞いたり、イメージしているけど、意外と知らない世界がテレビ業界だと思いますので、暇つぶしや雑談にでも活用していただければ嬉しいです。
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