テレビ番組制作を一番下で支えるAD(アシスタントディレクター)ってどんな仕事をするか知っていますか?

漠然と大変・帰れない・激務のイメージがあると思いますが、ちゃんと知っている人は意外と少ないはず。

そんなADの仕事や役割をどこよりも詳しい元ADの大百科ライターが紹介していきます。

番組制作や映像制作を目指す人は知っておくと役立つと思います。

ADとはその名のとおり、ディレクターをアシストする役割になります。

番組制作の中での序列は一番下です。

なのでディレクターの補佐だけでなく、番組制作のあらゆるサポート・雑務を行うポジションになります。

役割
総合演出番組全体の演出を決め、最終的な決定権を持つディレクターのトップ
プロデューサーキャスティング・予算管理・人員管理・コンプラチェックなどを行う。
演出放送回やネタごとに分かれる制作チーム演出の決定権を持つディレクター
ディレクター放送担当回のコーナーや企画のブロックの演出を決める
APプロデューサーのサポート。主にキャスティングがメイン
AD上記すべての業務をサポートする。(主にディレクター)

激務でハードワーク?

はっきり言って激務ですが、昔に比べてかなり働き方が変わりました。

テレビ業界全体としての働き方改革が進み、深夜会議・土日会議・泊まり込みなどをかなり少なくなってきていますが、まだまだ過酷な環境にあると思います。

ロケ・収録前は家に帰れないことや何日も徹夜をすることはいまだに当たり前です。

ADの1ヶ月スケジュール(激務・普通・暇)を書いた記事もあるので、ぜひそちらを読んでみてください。

ただ忙しい時と暇な時の落差はめちゃくちゃあります。

ADも激務ですが、一番の大変なのはディレクターかもしれません。

AD不足で働き方が変わったことで、ディレクターの負担や責任が年々重たくなってきています。

ADの仕事内容

企画会議からOAまでをブロックごとに細かくADの仕事を解説していきます。

ここではより細かくADの仕事内容を掘り下げますが、テレビ番組が出来るまでの流れをまとめた記事もありますので、ぜひ読んでみてください。

会議(定例会議・分科会・企画会議)

定例会議や分科会では、基本準備が仕事です。

演出的なことやアイデアを求められることは基本的にありません。

ディレクターや作家さんが会議を円滑に行うサポートする役割で、会議の1時間前くらいから資料印刷などをして準備していきます。

リモート会議が普及したことで、印刷や会社に行く必要がなくなり、会議作業が一気に楽になったのは間違いありません。

主な会議作業
資料の印刷・配布
ホワイトボードへの板書
会議室の後片付け
会議内容の議事録の作成

リサーチ・仕込み

ロケ地のリサーチや仕込みはADのメイン仕事になります。

ディレクターが求めるロケ地を探して、撮影許諾を取るのが重要な仕事であり、最も大変な仕事の一つになります。

明日のロケ地を見つけないといけなかったり、無茶な企画に協力してくれる企業を自力で探さないといけません。

見つかるまで終わらない作業であり、スケジュールが決まっているので過酷です。

このリサーチ・仕込み仕事をうまく出来るか出来ないかで、絶対的に評価が変わります。

主なリサーチ・仕込み作業
ディレクターの希望の場所を徹底的に調べる
ロケ地・企業をリストアップ
撮影許諾をとる。(とれるまで終わらない)
電話やメールで問い合わせしまくる

元放送作家が教えるリサーチテクニックをまとめた記事もありますので、そちらを読めばリサーチスキルが確実に上がると思います。

ロケ・ロケハン

ロケハンに行き、現場を確認しながら準備を進めていきます。

基本ロケハンはAD主導で行います。

ロケに必要なことを先回りして考えるようにしましょう。

基本ディレクターを演出面のことを考えるので、雑務やその他の作業は全てADが行います。

主なロケ・ロケハン作業
ロケハンへの同行
小道具や美術道具の発注
必要備品の調達・買い出し
スケジュール・香盤表・カンペなどの資料作成
技術(カメラマン等)・車両(ロケバス)の手配
撮影機材レンタル

オフライン・PV

オフライン編集・PV(オフチェック)はディレクターが行うので、ここでもサポートをしていきます。

必要な素材を集めたり、情報確認、編集所の日程調整などを行います。

その中でどんな番組やロケでも絶対ADが行う必須仕事が「デジタイズ」「段積み」になります。

主なオフライン・PV作業
段積み作業
HDD(SSD)をディレクターに渡す
情報確認(値段・商品説明・位置情報など)
インサート素材を集める(実景・イメージ画像・映像など)
総合演出とディレクターのPV日程の調整

EED・MA(箱)

編集所の作業はディレクターとADの共同作業になります。

テロップ原稿を作り、ADがエディターさんに指示しながら進めていきます。

ここではディレクターとエディターさんとのパイプ役になります。

チーフADや歴があるADは箱を一人で任され、ディレクターが確認だけに来るケースも多いです。

新人や歴が浅いADはディレクターやチーフADにサポートしてもらいながら、編集作業を行います。

慣れれば決まった作業になるので、難しくありませんがスケジュールとの戦いであり、予期せぬトラブルが一番起こる現場かもしれません。

主なEED・MA作業
ディレクターからの指示の共有
エディター・アシスタントへの指示
テロップの誤字脱字確認
モザイク処理などの確認
編集飯(弁当)の手配

スタジオ収録

スタジオ収録では、収録全体のサポートと全ての雑務になります。

ディレクターやプロデューサーからの指示や要求がどんどん飛んできます。

それらに対応しながら、カンペを準備したり、ディレクターのサポートをしていきます。

特殊な段取りがなければ、慣れれば難しいことはありません。

いつも見ていた芸人さんや、トップ女優さん、大物MCなどと一緒の現場で最初はフワフワした気持ちになりますが、いつしか見慣れます。

主なスタジオ作業
収録台本の印刷
カンペ・資料の作成
ディレクターのサポート
カメリハでのエキストラ
収録終わりのバラし作業

ADの仕事内容、いかがでしたか?

かなり細かいブロックに分けて紹介してみました。

基本ADはディレクターのサポートがメインになり、演出や企画について求められることはほとんどなく補助的な仕事になります。

その中で経験や実力が認められると徐々にアイデアや発言を求められていき、気づいたらディレクターになっているはずです。

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