収録前日のアシスタントディレクター(AD)のリアルな1日のスケジュールって気になりませんか?
今回は収録前日の激務な時のADさんのリアルな1日のスケジュールを元テレビ制作者がご紹介します。
基本的に1~2ヶ月に一度収録で同じようなスケジュールになりますが、AD業務は1人で行うのではなく、複数のADさんで力を合わせるので、番組制作を目指す皆さんは不安にならないでください。
それでは、普段よく聞くけど中身を知らない激務なADさんの収録前日を日付変わった午前0時からのぞいていきましょう。
編集作業
◾️午前0時〜9時
前日朝10時からの作業の続きを編集所で行っています。
テロップを入れたり、モザイクをかけたり動画加工をしています。ここまででトータル14時くらい編集所にいると思います。
休んでる暇はなく、必要なフリー素材を集めたり、ディレクターからの指示をエディターさんに伝えたりと、各所に進捗を送ったり、ずっとPCと向き合っています。
そして編集作業の裏で、収録台本を確認しつつ必要な備品や小道具を考えます。
編集一言メモ |
隙をみて寝ましょう!めちゃくちゃ楽になります |
ちょっとコンビニに行って夜風にあたるとスッキリする |
編集&収録準備
◾️10時〜17時
ここからは編集チームと収録準備チームに分かれて動きます。この時チーフADなどの先輩ADが編集、準備チームが新人に振り分けられることが基本です。
編集チームはまだまだ編集作業を行い、収録準備チームはスタジオで使う小道具や美術品の手配や調達に行きます。
百均やドンキなどで必要なものを購入し、さらに美術発注している小道具や衣装をピックアップしていきます。しっかりと発注したものが揃っているか確認し、運びやすい用に準備していきます。
MA・ナレ撮り
◾️17時〜21時
編集チームはBGMやSEをつけるMA作業に移ります。ここでナレーションをつけるナレ撮を行います。
VTRごとにナレ原を印刷して、MA室にスタンバイします。
収録準備チームはこの時間帯になると決定稿の台本がいつ上がるのかソワソワ待っています。カンペや印刷は決定稿が上がるまで作業できません。
MA・ナレ撮りの注意事項 |
大量に印刷するので、コピーの領収書を忘れずに! |
USBはしっかり管理しましょう!紛失すると情報漏洩 |
ナレーターさんの原稿はB4で大きい |
MIX
◾️21時〜24時
テロップや編集作業も完了し、ナレーションや音も付けたらVTRをチェックしていくMIXになります。
演出クラスが確認しながら、細かいテロップやSEのタイミングなどの修正箇所をあげていきます。
忘れないようにタイムをしっかりメモしながら、ワードなどで修正メモを作りましょう!
MIXが終われば編集作業もいよいよゴールが見えてきますが、もう一踏ん張りです。
MIXの注意事項 |
MIXの目処がわかったら全体に共有しよう |
修正はタイムまで細かくメモしよう |
ミキサーさんにもお弁当を忘れずに! |
編集直し&カンペ・台本印刷
◾️24時〜30時
編集チームは修正箇所を黙々と直していきます。ディレクターは帰り、ADに任せる場合もあります。
収録準備チームは、決定稿台本を元にカンペの作成、印刷を始めていきます。数十ページある台本を制作用、演者用、MC用など分けて合計100部以上印刷していきます。(ゴールデン番組の場合)
確定スケジュールからデカスケを作ったり、手カンペを用意したりと、やることはたくさんありますので、基本的には帰れないです。
印刷した後にミスや誤字が見つかると全てやり直しになるので最終確認は怠らないようにしましょう。
カンペ・台本印刷の注意事項 |
ページの順番や演者の名前は要チェック! |
ダブルチェックした方が安心! |
一字でも誤字があれば印刷し直し! |
テープ書き出し
◾️30時〜33時
編集チームは修正したVTRをテープやHDDに書き出していきます。編集チームもようやく休憩・仮眠ができるタイミングになります。
数日間編集所で生活しているので、家帰りシャワー着替えをして戻ってきたり、そのまま編集所のソファーで爆睡するなどして過ごします。
やっと長い長い収録前日の作業が書き出しで終わります!が、ここから収録本番になります。
収録本番
◾️翌10時〜17時
収録当日はぎゅっと飛ばしていきます。
書き出したVTRをスタジオに持っていき、技打ち、カメリハ、本番、撤収バラシを終えてやっと収録終了になります。
ここから撮って出しの場合は、さらに2週間程度、眠ることも帰ることもできないでしょう。※頻繁に起こることではないので安心してください。
怒涛の勢いでずっと作業するADさんのリアルな収録前日、いかがでしたか?
収録とロケでは前日のスケジュールが全く異なるので、ぜひこちらも読んでみてください。
過酷で、大変と思われるスケジュールになりましたが、業界全体で働き方改革も進み、以前よりも大幅に働きやすくなっています。
真剣に面白い番組や作品を作る制作環境は、他ではできない経験が間違いなくでき、さまざまな場面や職種でも活かせる経験が身につけることができます。
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