皆さん、再現ドラマを撮ったことはありますか?

ぜんぜん撮影しない番組もありますし、再現ドラマしか撮影しない番組もあり、番組によって経験値に差がめちゃくちゃ生まれるのが再現ドラマです。

ディレクターになっても、一度も経験していない人も少なからずいます。

しかし普段再現ドラマを撮影しない番組でも、急に撮影が発生することが多々あります。

たくさんの再現ドラマに携わった大百科ライターが、再現ドラマ撮影での注意点を細かく解説していきます。これを読めば、初めての撮影でもきっとうまくいくと思います。

さらに、再現ドラマだけではなく、縦型ショートドラマなどのSNS撮影でも応用できるので、ぜひ参考にしてみてください。

ロケ前の準備段階とロケ中の注意事項に分けてまとめていきます。

撮影前・準備段階

①最初に役者・エキストラを発注

まずはじめに役者・エキストラの発注をしましょう!

ロケ地の仕込みと異なり芸能事務所などは、レスポンスが遅くなりますし、イメージに合った役者を見つけるのに時間がかかります。

なので、男女・年齢・イメージ・人数などが決まった段階で、AP(アシスタントプロデューサー)に頼み、事務所からプロフィールをあげてもらいましょう。この時1社だけではなく、複数の事務所に声をかけてもらいましょう。

大体2〜3日で役者のプロフィールが送られてくるので、ディレクターに確認してもらい選定しましょう!

②撮影時間はディレクター確認

シーンごとの撮影時間は、ざっくりとADの方で決めて最終的な撮影時間はディレクターに確認して決定しましょう。

撮りたいカットやシーンによって、撮影時間は全く変わります。

ディレクターとしっかりとスケジュールをすり合わせておかないとロケ当日、大変なことになるので、注意しましょう。

ある程度慣れてくると台本を読んだだけで、おおよその撮影時間などが見えてきます!

タレントさんが来ることでついつい張り切ってしまい、ロケハンで訪れて感じたいい雰囲気が変わってしまい残念なことに・・・

③スケジュールは分刻みで調整

再現ドラマのスケジュールは分刻みくらいの気持ちで調整しましょう。

再現ドラマは1日で複数のシーンを撮影しなければいけません。多い番組だと1日8本撮ることもあります。

適当にスケジュールを組んでしますと、ずっとスケジュールがめちゃくちゃになり、地獄のような空気になります。

ある程度余裕を持ちながら、5分刻みくらいで細かくスケジュール調整しましょう。巻く分にはOKですが、押すのはNGです。

④セッティング・バラシ・撤収時間も計算する

スケジュールを組む時は、セッティング・バラシ・撤収時間も計算しましょう。

再現ドラマの場合、撮影前にリハやカメラ・照明の調整などのセッティングを絶対行います。大体10〜30分程度は必要になります。

また撮影後も機材のバラシや、小道具の撤収なども5〜10分程度かかるでしょう。さらに、ロケバスに向かうまで駐車場までの移動時間も大体5分程度かかります。

このセッティング・バラシ・撤収時間を計算していないと、撮影時間は押してないのに、なぜかめちゃくちゃ押してしまいます。

ADはスケジュールを組む時、撮影時間だけでなく「セッティング・バラシ・撤収時間」などの前後の時間もしっかりと計算しましょう。

⑤1箇所でまとめ撮りできる場所が理想

ロケ地の選定では、1箇所で複数のシーンをまとめて撮れる場所が理想になります。

多少遠い場所でも、1箇所で撮れるなら予算もカロリー、時間も大幅に軽減されます。

ロケ地を見つける時は、まとめて撮れる場所を見つけるのもテクニックのひとつです。

シーンごとにおすすめなロケ地をご紹介しているので、こちらもチェックしてみてください。

⑥役者の集合場所を指示

再現ドラマの役者・エキストラは、都内23区であれば基本的に現地集合になります。駅から遠い場所や、時間がかかる場合は、ロケバスで迎えに行ったりします。

なので、集合場所をしっかりと伝えておきましょう。駅の改札前なのか、何口の階段を降りた場所なのか、スタジオの入り口なのか、具体的に指示しておきましょう。

ちゃんと伝えておかないと当日変な時間が生まれて、スケジュールが押します。

⑦役者の衣装を具体的に指示

再現ドラマの場合は、基本的に衣装は役者自身の私服を持ってきてもらいます。制服などの特殊な衣装は制作用意になりますが、それ一般的な衣装は役者に持ってきてもらいます。

なので、役者には具体的な服装のイメージをしっかり伝えておきましょう。

当日持ってきた衣装が全然イメージと異なる場合、取り返しがつかないことがあるあるです。

スーツ・ジャージ・シャツ・ジャケット・帽子など具体的な要望をして、役者が持っていなければ制作が買って用意しましょう。

⑧役者のロケバス・移動手段の確認

役者の車移動が必要になる場合は、事前に移動手段を確認しておきましょう。

基本的に再現ドラマの場合、制作スタッフは技術車両に乗って移動しますので、わざわざロケバスを発注することは、あまりないです。

制作スタッフは技術車両に乗れますが、役者・エキストラに関しては乗せるのがNGな場合があります。技術車両は普通免許であり、二種免許ではないので、万が一事故が起きた場合のことを想定しています。

なので役者の車移動が必要な場合は、事前に移動手段を決めて当日バタつかないようにしましょう。

⑨シーンごとに小道具をまとめる

使用する小道具はシーンごとにまとめて、取り出しやすく管理しておきましょう。

シーンによって使う小道具は変わりますし、基本シーンごとで不要になります。

なので、小道具に関しては、小分けしてシーンごとのバックで管理しておくとロケの時困りません。探し時間も、バラす時間も大幅に削減できます。

⑩食事の時間は絶対確保!無理なら移動飯

再現ドラマは1日中スケジュールに追われます。パツパツで休憩している暇が無い場合が多いですが、しっかりと食事の時間を確保しましょう。

ご飯を食べないと技術さんや役者さんも、いい撮影が出来ません!

に入ってゆっくり食べるスケジュールが取れない場合でも、ロケ弁を発注して移動中の車内で食べてもらうようにしましょう。

ロケ弁が難しい場合は、最悪コンビニ飯でもいいので購入してください。食事の確保は絶対です!!!

撮影・ロケ中

基本的に黒系の服装で行く

再現ドラマの撮影では、基本的に黒系の服装でいきましょう。

なぜ黒系かというと、「反射物などで映り込んでも目立たなくする」ためです。

鏡、テーブル、レシピ、車、水面など、反射しやすいモノが街中にはたくさんあります。反射で視認しやすい明るい色を着ていると、カメラに映り込んでしまい邪魔になってしまい、めちゃくちゃ怒られます。

ADの服装について、まとめた記事もありますので、ぜひ読んでみてください。

押し巻きをシビアに計算する

ロケ中はスケジュールの押し巻きを常に計算しましょう。

ディレクターは、撮影に集中しているので時間を忘れてしまいがちです。こだわりが強すぎて、スケジュールが破綻させるディレクターも多いです。

なので、ADはスケジュールを管理し、絶対に出ないといけない時間や押せる限度を逐一ディレクターに報告しましょう。

押すことによって、予定していたロケ地が撮影できなかったりすることもあります。撮影申請した時間厳守の場所や、先方の都合によってNGになるので、時間調整はADの腕の見せ所です。

撮影と並行し撤収準備を始める

撮影が始まったら、基本的にADはあまりやることはありません。ディレクターが指示しながら、黙々と撮影します。

なので、サポートの必要がない時はバラシの準備や次のシーン撮影に準備を始めましょう。そうすることで、バラシの時間が削減でき、次の撮影にスムーズに移行できます。

遅れる場合はロケ地・役者に絶対で電話報告

スケジュールに押しが発生した場合は、仕込んでいるロケ地や役者に電話報告しましょう。

10分程度の遅れなら許容範囲かもしれませんが、それ以上遅れる場合は電話連絡しましょう。

役者は、寒い場所や暑い場所にずっと待ってもらうことになりますし、店舗やロケ地も不安になります。さらに、押すことによって、先方のスケジュールにも影響します。

再現ドラマに限らず、ロケの時に押し巻きが発生したら、ちゃんと電話で報告するようにしましょう。

再現ドラマ撮影の注意事項、いかがでしたか?

普通のロケと異なる部分が多く、常に時間に追われながら撮影することになります。

なので、事前のスケジュール作成、当日のスケジュール管理をちゃんとできれば基本的に上手くいきます。そもそものスケジュールが破綻していると、全く上手くいきません。

再現ドラマに慣れていない不安なスタッフさん、ADに限らずディレクターさんもぜひ参考にしてみてください。

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